浅田次郎氏の「天切り松 闇がたり」を読みました。
複数巻あるのですが、ちょうど2巻まで読み終わったところです。
いや~、かっこいい!!
とある警察署の留置場。そこに年老いた老人が入ってきます。この老人、盗人業界では知らない人はいないという「天切りの松」lこと松蔵。
同じ留置場にいる半端な犯罪人にたいして、自分の過去や経験をもとに説教をするという話なのですが、この話がかっこいい。
時代は明治・大正。江戸時代の名残と大正時代の文明開化の空気がごっちゃになったこの時期、松蔵は盗人の親分「目細の安」に預けられることになりました。
というか松蔵の父親がまたとんでもないやつで、ひどい博打打ちでまともに家族の面倒もみない。女房を病気で失ってからは娘を売り、邪魔な松蔵も体よく追っ払ったというわけです。
それからの松蔵は、兄貴・姉貴分について回りながらいろんな世界を見ていくのですが、あまり細かく書くとネタバレになってしまうので、ここではやめておきましょう。
とにかくその経験談を語ることによって、現代の半端な気持ちで犯罪を犯してしまう人たちに対して、だらしないことはやめろ、人のことを考えろ、もっと男らしくあれ、と説いていくわけです。
この説教は警察官を含む留置場にいる全員を魅了し、神妙に話を聞く様子が描写されています。
特に読み応えがあったのは第1巻の「白縫華魁」と「衣紋坂から」 。松蔵のお姉さんのいきさつと、松蔵の関わりが描写されているのですが、もう泣きそうになりました。
まだあと3巻くらい残っているので、これから読むのが楽しみです。
私は浅田次郎氏の作品がとても好きで、過去にも「蒼穹の昴」、「中原の虹」、「日輪の遺産」など、数多くの作品を読んでいます。
とにかく楽しく読めたのは「プリズンホテル」や「きんぴか」でしょうか。はちゃめちゃなコメディの中に人としての義理人情を貫く姿が描かれたりしていて、多面的に楽しませてもらいました。
「最近なんだかすっきりしない息苦しい世の中だな~」、と思っている方、浅田次郎氏の本はおすすめですよ。
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